「植物の病気」について

今回はガーデニングや園芸を行う際に、最も悩まれる方が多い植物の「病気」について解説させていただきます。植物はどうしても自然に生きる生物のため、環境によっては病気になることがあります。

 

もちろん完全に病気を防ぐことは困難です。そんなときに重視することは、完全に防ぐ方法を考える事ではなく「極力、感染箇所・被害に遭っている箇所を広げない」ということなのです。そのためには原因の究明が最優先となり、その次に対応策を検討します。

 

ガーデニングや園芸を始めてから経験の浅い初心者の方の場合、植物に異変があると処分をするしかないと考えたりする方が多く、またとりあえずこの薬剤を使っておこうというような対応が多く散見されます。実際は焼却が適していたり、農薬を散布して駆除することが適していたり、これらを組み合わせて行うべきであったり、様々な対処法があります。

 

病害を発生させる原因には下記が多く知られています。

①カビ

②バクテリア

③ウイルス

④線虫

 

①カビ

被害の経路としては植物の気孔などから入り込むケースや、表皮を分解して植物の体内に入り込むケースが一般的です。適度な温度や湿度で発生しはじめ、カビならではの菌糸を繁殖させて増殖します。

代表的な病害は下記になります。

 

【葉に症状が見られる病害】

うどんこ病：小麦粉のような白粉が葉の表面や裏面、または両面に発生します。サルスベリやウバメガシなどの広葉樹に被害をもたらします。

すす病：葉や茎、枝野表面が黒色のすす状物で覆われる病気です。アブラムシやカイガラムシなどの分泌物の上で繁殖するものや、葉の組織の中に入り、葉の細胞から直接栄養を取る2つの形態があります。カラマツ、サカキ、アオキ、サツキなどに被害をもたらします。

さび病：葉の表面、裏面に黄色やさびのような色の粉をふく病気です。さび病菌（糸状菌）と呼ばれるカビ類による病気で、カイズカイブキ、ウメ、モモなどに被害をもたらします。

もち病：春の開葉期の後、新芽の一部が膨らんでもち状の症状となります。患部が膨らまないで白粉を生じるなどの被害にもなる場合もあります。ツツジ類、ツバキなどに被害をもたらします。

たんそ病：葉や果実に、円形や不整形の褐色、黒褐色、漆黒色の病斑が現れます。葉は勢いがなくなり、落葉します。ツツジ、クスノキ、モッコクなどに被害がもたらされます。

白も（藻）病：葉の表面に白～淡褐色の放射状に伸びた菌糸膜が形成されます。初期は白色、時間がたつと共に淡褐色放射状になります。

 

【幹や枝、茎に見られる病害】

こうやく病：幹、枝の表面に褐色、灰～黒褐色のビロード上の熱い膜が覆います。ウメ、モモ、サクラなどの広葉樹に被害がもたらされます。

てんぐ巣病：枝の一部がこぶになり、そこから多数の小枝をほうき状に出します。サクラ、キリなどに被害がもたらされます。

枝枯病：幹、枝に斑点を生じ、小さな隆起が出来ます。病斑が枝を一周するとその先端は枯れてしまいます。サクラ、バラなどに被害をもたらします。

白絹病：根本、地際の幹や茎に白い菌糸が発生し、はいのぼります。病状が進むと、褐色になり枯死します。ジンチョウゲ、ハギ、球根類などに被害をもたらします。

 

【根に見られる病害】

広紋羽病・紫紋羽病：根や根冠部、地際部などに白または紫の菌糸束が蜘蛛の巣状に絡みつきます。最初は細根にカビが発生し、次第に太い根に及んでいきます。侵された根の樹皮は腐敗し、急速に広がります。サクラ、ケヤキ、ジンチョウゲなどに被害をもたらします。

 

 

②バクテリア

こちらは上記のカビなどと異なり、自力で植物の体内に入り込むことが出来ません。よって損傷口から侵入し、細胞分裂を起こして増殖、病巣を広げます。傷などから入り込むという方法は、人間の感染症と少し似た部分でもありますね。

 

 

③ウイルス

アブラムシなどの昆虫による媒介で、植物の体内に侵入して繁殖します。よく混同されることも珍しくないのですが、カビなどの真菌（菌）とウイルスは異なります。

 

 

④線虫

数ミリ程度の大きさであり、気孔や表皮などから植物の体内に侵入し、被害をもたらします。

 

 

以上が、植物の病気と呼ばれるものです。これ以外にも虫害（虫の被害）も植物の重大な被害ですので、ご興味をお持ちいただけた方は是非学んでみてくださいね。